Information コラム・お知らせ
2019.06.04
中古ピアノの選び方
良いピアノを買いたいけど、予算の関係で中古ピアノを選びたいという方や、しっかりメンテナンスされたものであれば、より安定感のある古いピアノの方が良いという方が多くいます。
とはいえ、中古であるからこそ購入する際に注意すべきポイントも多いためその説明と、そのポイントが難しいからこそ店舗選びがなぜ重要なのかをお伝えします。
中古ピアノを買う前の検討ポイント
まず中古ピアノを買う前に価格、サイズ、デザイン、環境についてご自身の中で明確にしておいた方おくことをおすすめします。具体的にそれぞれを説明します。
価格
中古ピアノの価格は高いものから低いものまで大きく幅があります。金額の幅が大きいため、予めある程度は予算を考えておかないと、どのピアノを選べばいいのかわからなくなってしまいます。
ピアノはそれ以上に長い期間楽しむことができる楽器ですので、購入時にかかる初期費用だけではなく、これから末永く音楽を楽しむにはという観点で予算を検討するという考えもあります。
環境
ピアノを長く続けていくためにも、周りの周辺環境への配慮が必要になります。ご近所から苦情が入り、結局止めてしまうということになるのを防ぐためにも、音漏れの配慮が必要となります。
特にマンションに住まれている方や、夜間の練習を想定されている方は消音機能付きピアノを選択肢に入れておきましょう。購入時にユニットを取り付けることができる場合がありますので、販売店に相談してみてください。その金額も予算の中に含めておく必要があります。
サイズ
アップライトピアノの場合、高さ121~131cmのスタンダードサイズからコンパクトサイズまで、ピアノにはさまざまな大きさがあります。ご自身の部屋の配置を踏まえてシミュレーションしてからこれより大きいサイズは難しいなどは決めておくとよいです。
デザイン
ピアノは部屋に置くとインテリアとして大きな位置を占めます。インテリアにマッチするデザインや好みのデザインを選ぶことも大切です。
例えば、黒いピアノが一般的に多く流通してはいますが、家の家具と調和する木目のピアノもあります。
木の種類によって大きく風合いが変わってくるため、まるで家具を選ぶように楽しくピアノを選ぶことができます。
ご自身の家全体をイメージして、黒いピアノがいいか、木目のピアノがいいかを考えておくのがおすすめです。
ピアノを買う際にチェックすべきポイント
実際にピアノを見に行くとなった際にはチェックしておくべきポイントがあります。最も大切なのは弾く本人が感じる「ピアノの音」と「ピアノタッチ」です。また、購入する際に調べるべきチェックポイントについてもご紹介します。
ピアノの音
まずは自分が好きな音色かどうかがとても大切です。そのためには、いくつかのピアノを試弾してみるのが一番です。
また、試弾をすることでピアノの不具合を発見することもできます。「特定の鍵盤で雑音が出る」とか、「音の伸びが悪い」と感じた場合はやめておきましょう。
音だけで判断するのも難しいので、後述の調べるべきチェックポイントも参考にしてください。
ピアノタッチを選ぶ
ピアノを試弾してみると、ピアノタッチが重いものがあります。まずは弾いてみて反応が良いと感じるかをみてみましょう。ff (フォルテッシモ)とpp(ピアニッシモ)の限界でも反応がよいのかも確認をしてください。
弾いた際に身体的にも、気分的にも、本当に弾き心地がいいかどうかが大切です。
ピアノタッチはある程度調整することは可能ですが、中には調整以前に鍵盤からアクションまでの稼働部分が正常に動作していない可能性もあります。その際には修理・調整が必要になってきます。
調べるべきチェックポイント
(1)調律の履歴
定期的に調律がされているピアノであれば、よい状態である可能性が高くなります。調律の履歴が残っているか、どれくらいの頻度でされているかを確認しましょう。年に1度は調律がされていることが理想的です。
(2)ハンマーの状態
ハンマーヘッドに弦の跡が深くついている、ハンマーヘッドがすり減っている状態の物は音質に関わるため、チェックが必要です。調律をするたびにハンマーヘッドを削っていくのですが、すでにハンマーヘッドが何度も削られている場合にはハンマーの寿命が短くなってしまいます。そうなっていないことを確認する必要があります。
(3)弦の錆
弦が錆びていないかを確認しましょう。特に低音源は錆により音がつまり伸びがなくなってしまいます。また、中高音弦に関しては錆が増えてくると切れやすくなってきます。
(4)響板
響板を中心に楽器全体が振動して音を出すピアノにおいて、響板が割れているということがあると問題があります。響板にひび割れが入っていないことを確認しましょう。
(5)鍵盤
鍵盤はすべて弾いて確認しましょう。指で動かしてハンマーが左右に揺れないかもチェックしましょう。
(6)消耗品のチェック
消耗する各部品(フェルトやクロスなど)を適切に処置または交換修理されているかチェックしましょう。
実際に買う際にすべきこと
実際に買う際必ずやっていただきたいことがあります。
それは試弾をすることです。
ヤマハのピアノのように品質が安定しているものも多くありますが、一般的に職人の手によってつくられるピアノは新品のピアノの同じ機種ですら別の音色になる可能性があります。
中古ピアノであればその差はさらに広がってくるので、さらに弾かずに購入することはリスクがあります。
また上述のチェックポイントをチェックするためにも実際に自分の目で確認することが大切です。
店舗選びが大切な理由
今まで述べてきたように、中古ピアノの購入する際にチェックするポイントは多くあります。しかし、多くの方がピアノを購入するのが初めてという中で全てをチェックするのが難しいのも事実です。
そのため、どこの店舗で購入するかがとても重要になってきます。
その際に、買取力があること、調律師・技術スタッフがいること、弾き比べができることが重要なポイントになります。
買取力があること
中古ピアノは元の持ち主から買い取って初めて販売できます。中古ピアノの品質は買い取ったピアノの品質によって大きく変わります。そのことから、そもそもの買取件数が少ないとよいピアノを売ることができる可能性が低くなってきます。
もちろん買取専門会社もあるためそこから仕入れることもできますが、その分販売価格が高くなってしまうことから、お買い得な中古ピアノを買うという点でも、買取を実際に行い、商品数の多いお店から買うことが大切になります。
調律師・技術スタッフがいること
調べるべきチェックポイントの項目でも書いたとおり、多くの項目についてメンテナンスしたうえで中古ピアノとして販売されています。その作業を行うのは調律師さんや、ピアノの技術者さんです。
調律師・技術スタッフさんを抱えていることで、より細かなメンテナンスをすることができるためそのような店では、よい品質の中古ピアノに出会える可能性が高まります。
弾き比べができること
中古ピアノを購入する際に、音色やタッチをチェックすることが重要になりますが、その際に同じ環境で弾き比べをしないと実際に比較することはとても難しくなります。
そのため、店舗内に複数の中古ピアノがおいてありその弾き比べができる店舗での購入をおすすめします。
関連記事
- 一つ前のコラム:グランドピアノ300年の歴史について誕生から現在までの変遷を紹介
- 一つ後のコラム:アップライトピアノの大きさはどれくらいか
- 外装からサイレント機能まで!中古ピアノ購入前にチェックしたい7つのポイント
- どう選ぶ?中古ピアノを選ぶポイント
- ピアノの見た目よりも大切なこと。中古ピアノの外装について