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2017.11.03
大切なピアノのオーバーホール時の注意点
ピアノを長く使っていると、老朽化して不具合が出てくることが多くなります。そのような際、ピアノを買い換えるという選択肢もありますが、オーバーホールという形でピアノをリニューアルすれば、さらに長く使える場合があることをご存じでしょうか? ここでは、ピアノのオーバーホールについてご説明していきます。
ピアノのオーバーホールとは?
ピアノのオーバーホールとは、ピアノを工房に預けて分解し、弦、ハンマー、フェルトなどの部品を新しいものに交換して、再度組み立てること。ピアノの大がかりな修理とも言えます。オーバーホールすることで、老朽化したピアノでも、本来の性能や音色を取り戻すことが可能になります。
ピアノを長年使っていると、いろいろな思い出ができますから、手放したくない気持ちになることもあるでしょう。古くなったピアノでも、オーバーホールをすればさらに何年も使えるため、手放す必要がなくなります。
ピアノのオーバーホールの必要性
ピアノには寿命があると言われており、それに近づくにつれ不具合が生じることが多いようです。しかし、そこでオーバーホールをすれば、ピアノの寿命を延ばせると言われています。ピアノの寿命がどれくらいかは、設置環境やメンテナンスによって変わってくるため一概には言えませんが、響板の寿命がピアノの寿命と言われています。響板とは、ピアノの弦の下(アップライトピアノの場合には背部)に張ってある木の板のことで、ピアノの心臓とも言われ、ヒビが入っただけでも雑音の原因となり演奏が困難になります。
ピアノは弦の張力が非常に強く、響板には常に大きな負荷がかかっています。そのため、年数が経過すると、響板が割れて隙間ができるといったトラブルが起こりやすくなります。響板が劣化した場合、修理するのは困難なため、ピアノの寿命となってしまうのです。
ピアノの寿命を延ばすには、響板の寿命を延ばす必要があります。響板の寿命を延ばすためには、オーバーホールにより細かな部品を定期的に交換すると同時に、響板の補修も行っておくことが有効です。
オーバーホールを依頼する楽器店の選び方
オーバーホールはピアノの大がかりな修理になりますから、それなりの費用と時間がかかります。また、大切なピアノですから、安心して任せられるお店に依頼したほうが良いというのは、言うまでもないでしょう。
ピアノのオーバーホールには専門的な技術が必要ですから、どこへ頼むかによって、仕上がりも変わってきます。オーバーホールを依頼する楽器店を選ぶときには、下記のような点に注意すると良いでしょう。
工房がある楽器店かどうか
工房がない楽器店だと、そのまま下請けに流すだけになり、こちらの要望が伝えにくかったり、余計な費用がかかってしまったりすることがあります。工房を持っている楽器店で、直接オーバーホールを行ってもらうと修理状況も把握しやすいので最も安心でしょう。
純正のパーツも取り寄せられるか
所有しているピアノのメーカーの純正部品以外と交換すれば、ピアノの音色が変わってしまうことがあります。そのため、純正部品の取り寄せが可能な楽器店を選んだほうが良いでしょう。
事前に見積もりを出してもらえるか
ピアノのオーバーホールには、数十万円の費用がかかるのが一般的です。大きい金額だからこそ、あらかじめ見積もりをきちんと出してくれる楽器店にお願いしたほうが安心でしょう。
実績がどれくらいあるか
ピアノのオーバーホールは大がかりな作業になりますから、技術力はもちろん、ノウハウや経験が重要になってきます。実績が豊富な楽器店に依頼するほうが良いでしょう。
ピアノは何十年も長く使うもの。世代を超えて引き継がれることも多く、愛着が生じ、なかなか手放したくなくなるものです。大切なピアノをできるだけ長く使うために、古くなったらオーバーホールを考えてみてはいかがでしょうか。
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